日々是好日

say so

うんと若い頃、日日是好日という言葉を、毎日良い日。と文字のままに受け取っていた。そんな風に毎日毎日楽しいことばかりで過ごせるような日がいつか訪れるんだと思ってた。

まだ父と母が婚姻関係にあって、家族が一緒に住んでいた頃のこと。
幼稚園1年目の頃だったと思う。玄関の引戸を引くと、茶の入った湯呑みが帰宅した私に降ってきた。玄関開けたら2分でご飯ならぬ、玄関開けたら1秒で湯呑みだ。このCM知ってる人少ないんだろうなぁ…
その頃居住していた家は、所謂、飯場(はんば)と云われる工事現場作業員用の寄宿舎のようなプレハブの建物だった。引戸を引くと、土足のまま入って食事をするテーブルが並んでいる。

だから、玄関開けたら1秒で湯呑みが届くのだ。
父が湯呑みを投げ、母が湯呑みを避け、引戸を引いた私を直撃した。熱いやら痛いやら怖いやらで、泣き出す私にお構いなく、父は母に罵詈雑言を浴びせながら暴力を振るい、父の友人が止めに入り、父の仕事の若いお兄さん達が私をなだめ…。その日のことを思い出すと今でも複雑な気持ちになる…

父は粗暴な人で、母はその粗暴に燃料をくべる人で、争いの種はそこらじゅうに転がって足の踏み場もなかったから、こんなエピソードは、私の昔話にはいくらでもある。
毎日毎日楽しいことばかりで過ごせるような日がいつか訪れるんだと願っていたかったんだと思う。

日々是好日の解釈

そんな私の願いとは真逆に、日々是好日(にちにちこれこうじつ)は、中国の唐の時代に活躍した禅師、雲門文偃(うんもんぶんえん)の悟りの境地を表した言葉で、毎日どんなことが起きても、そのまま受け入れるのが大事 過去を悔やまず、未来に望みを託さず、今、ここのみを生きる安心立命の境地を表し、今でも多くの人に影響を与えてる言葉で、さまざまな解釈がされてるんだって。

  1. 瞬間の美しさを味わう
    どんな日であっても、その瞬間を大切にし、美しさや喜びを見出すことができると解釈。現代のストレスフルな生活の中で、この考え方は多くの人から共感されているみたい。
  2. 受け入れる心
    すべての出来事を肯定的に受け入れる心の姿勢を示していると解釈。良いことも悪いことも、すべてが一つの流れの一部であり、それぞれの出来事に意味があるとする考え方。この考え方は、仏教の無常観にも通じ、変化を恐れずに受け入れる心のあり方を示してる。
  3. シンプルさと平穏
    シンプルで平穏な生活を送ることの重要性を示しているとされている。物質的な欲望や外部の評価に振り回されず、自分自身の内面と向き合い、穏やかな心で日々を過ごすことが幸せにつながる。この解釈は、禅の修行や坐禅の実践と深く結びついている。
  4. 現実を受け入れる
    現実をそのまま受け入れることの大切さを示しているとされている。現実を否定せず、あるがままの状況を受け入れ、そこから学び成長する姿勢を持つことが重要。この解釈は、心理学のアプローチとも重なり、自己啓発やカウンセリングの場でも取り上げられることもあるそうだ。
  5. 日々の小さな喜び
    日常の小さな喜びを見つけることの大切さを示しているとも解釈されている。忙しい生活の中で、ほんの些細な出来事や瞬間に目を向け、それを楽しむことで、日々のストレスを軽減し、心の豊かさを感じることができると解釈されている。

日々是好日にはさまざまな解釈があるけれど、共通していえるのは、日々の出来事や瞬間を大切にし、心の持ちようを整えることで幸せを見つけようということ。

過去に囚われず、おかれた環境や相手にされたことばかりを否定せずに、今の状況を受け入れて、それを楽しめる自分になりたいと思う。

この記事を書いたヒト

愛知→宮城のゲマニア
コーヒー牛乳と無人販売巡りが大好き♪
気が付いたらもう半世紀生きたので、これからは好きなモノに囲まれて丁寧にゆっくり暮らしたい。と願って2年。なかなかゆっくり暮らせない...
2025年1月から留守家庭の妻やってます

ヒノキヨをフォローする
say so
PR